眼の疾患・症状の解説

眼の疾患・症状の解説

眼の疾患・症状をご説明します。

眼には様々な症状・疾患があります。

このページでは各疾患に対しわかりやすく解説させていただきますので、ご家庭での眼科辞書としてご参考にしてください。

白内障

眼の中の水晶体とよばれている部分が濁った状態を白内障といいます。
カメラにたとえると水晶体はレンズにあたる部位でこの部分の混濁が進行すると眼の中に入る光の量が減少するため視力障害の原因となります。年齢とともにどなたも白内障になるわけですが、視力障害がおきなければ手術の必要性はありません。(水晶体の瞳の領域の部分に混濁が発症してかすみ、まぶしいなどの症状が強い方は早期に手術をすることもあります。)ただしあまり進行してしまいますと最新の手術(超音波乳化吸引術といい小さな切開で手術が可能で折りたたみ式のフォルダブル眼内レンズを用いることで短時間で眼に対する影響を最小限にできる手術)はできなくなるので定期的に眼科を受診し進行状態をチェックしましょう。
白内障は水晶体の濁り方で分類されます。
1、前のう下白内障(前方水晶体のうの真裏の混濁)
2、皮質白内障(水晶体の周辺部の混濁)
3、核白内障(水晶体の中心部の混濁)、後のう下白内障(後方水晶体のうの真裏の混濁)
いずれの混濁形態でも進行し眼内に光が入るのを妨がれれば視力障害が起き白内障の手術の対象になります。白内障の原因は加齢現象である場合が多くおもに皮質、核白内障が進行します。その他の原因として先天的なもの、外傷、アトピー体質、糖尿病、ステロイド剤などの薬物使用、放射線によるもの、虹彩炎などの眼の炎症などがあります。 白内障の治療は初期の場合点眼薬で進行が遅らせられる症例もありますが一度濁った水晶体を治療することはできません。前述したとうり白内障の手術をするのが一般的です。 手術は局所麻酔(眼の中は痛みを感じる神経がないためほとんどの場合点眼麻酔のみで手術が可能です。)で痛みを伴わず手術が可能です。最近の手術は約3mmほどの切開創があれば(眼内レンズを選べばもっと小さな切開創でも手術は可能)手術は可能です。水晶体の外壁である水晶体のうを残し内部を超音波水晶体乳化吸飲術と呼ばれる方法で水晶体内の混濁した部位を粉砕しながら除去します。最近では装置が進歩したことやプレチョッパーといった機器の開発、手技の進歩また眼内レンズの進歩(小さな切開創から折りたたまれたレンズを眼内に挿入し眼内で本来の形にもどるフォルダブル眼内レンズの進歩)により安全にまた短時間で手術が可能になってきました。さらに乱視矯正レンズ、多焦点眼内レンズ(白内障の手術を受けた眼は本来の調節力はなく眼鏡なしでは遠方、近方を視ることが不可能ですが多焦点眼内レンズはそれを可能にしました。)などの開発により視機能の向上もより良好になってきました。

緑内障

白内障と似た名称がついているのでその病態について勘違いしている患者様も多いようです。
以前は急激な眼痛、頭痛、視力低下を伴う(原発性急性閉塞隅角緑内障)緑内障や眼圧が高くしだいに視野狭窄が進行していく疾患のみを緑内障としていました。今日では眼圧が高い、正常にかかわらず視野狭窄の進行のしかたや当院にも設置してあるOCT(眼底三次元画像解析装置)による網膜神経線維層の欠損から診断されるようになってきています。

緑内障の病型分類と治療法

1、原発開放隅角緑内障
1)、薬剤による治療:まず薬剤による治療を第一選択とします。薬剤もはじめは単剤療法から開始し有効性が確認されない場合は他剤に変更したり複数の薬剤を使用し経過を観察します。
2)、レーザー線維柱帯形成術:房水が静脈に流れでる部位を線維柱帯といいます。この部位の機能障害で房水が眼内から流出できないと眼圧は低下しません。この部位にレーザーを低いパワーで照射して流出路を拡大する治療法がレーザー線維柱帯形成術です。
3)、観血的手術:線維柱帯切除などが代表的なもので房水の流出路を手術的に切除してしまう方法です。薬剤治療と併用されることが多い方法です。
最近では線維柱帯切除に加えチューブシャント手術なども施行されるようになっきています。シャント手術とは緑内障治療用のインプラントを線維柱帯切除時にできた溝に挿入して房水の流出をよくする方法でプレート付きのものとプレートがないものがあり症例によってどちらを使用するか決めます。

2、正常眼圧緑内障(緑内障の72%)
眼圧が正常であっても視神経が脆弱な場合は網膜神経線維層が欠損し緑内障が発症します。低眼圧緑内障ともよんでいますがこれらの疾患では初期の自覚症状はなく非常にゆっくりと進行していきます。症状を自覚する状態になりますとかなり悪い状態にすでになっていて近い将来失明する可能性があると考えてください。やはり原発開放隅角緑内障と治療方針はかわりません。

3、原発閉塞隅角緑内障(緑内障の12%)、原発閉塞隅角症
眼の毛様体から産生された房水は瞳を通りぬけ線維柱帯や虹彩の根元などから静脈に排出されますが、これらの疾患では瞳が水晶体で塞がれ房水が眼のそとに流出できなくなります。瞳の裏側に房水が溜まり眼圧も60mmHg程度まで上がることもめずらしくありません。(このような状態を原発急性閉塞隅角緑内障とよびます)自覚症状も強い眼痛、頭痛、吐き気、視力障害が突然発症しますので緑内障の発作(アタック)ともいわれています。頭痛の強さから脳神経外科を最初に受診される患者様も多くいらっしゃいます。治療法は眼圧を低下させる高張浸透圧剤(グリセオールなど)の点滴静注後レーザーによる虹彩切開または観血的に虹彩切除をすることが第一選択となります。線維柱帯切除の部分が癒着してしまっている症例では隅角癒着解離術といって隅角癒着解離針を用い癒着した部位をはがす治療をすることもあります。また癒着が強い場合には線維柱帯切除術を併用する場合もあります。ある程度白内障のあろ患者様では白内障の手術をすることにより隅角が広がることが期待できるため白内障の手術を施行する場合もあります。(人工水晶体の周辺はループとなっているため正常の水晶体にくらべ非常に薄く虹彩を圧迫しなくなるので隅角がひろがることが多いのです。)原発閉塞隅角症では原発急性閉塞隅角緑内障発症する可能性があるため(睡眠剤、消化器系の薬などが誘因となります)予防的にレーザーによる虹彩切開することもあります。

正常眼圧緑内障などでは検診(眼のドックなど)を受け初期に発見されれば点眼薬のみで良好な視力、視野を維持できる場合が多いので定期的な経過観察を受けることをお勧めします。
現在緑内障の治療薬は多数開発されています。1番多く処方されているのがプロスタグランジン系とよばれているくすりで眼房水の流出を促進し眼圧を下降させる作用があります。β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などのように眼房水の産生を抑制する薬剤もあります。最近では複数の点眼薬を使用しないですむようこれらの作用を併せ持った合剤が多数開発されています。

糖尿病網膜症

現在失明の原因となっている疾患の中で最も多い疾患のひとつです。発症初期は軽度の血管の異常や眼底出血のみで自覚症状はありません(単純網膜症。放置しておきますと脆弱な血管が出現しやがて大きな眼底出血が発症します(増殖網膜症)。しかしこれらの変化は通常は急激に発症、進行することは少ないため早期発見、早期治療により進行を止めたり遅らせることが可能です。糖尿病の患者様は定期的に眼底検診を受けることで網膜症の悪化を予防することが可能です。緑内障同様眼の検診(眼のドックなど)が重要な疾患です。

飛蚊症

これは病名ではなく糸状のものやゴミのような物がみえる状態を医学用語にしたものです。硝子体というゼリー状の物質の濁りがその原因です。この濁りの大半は加齢的なものに起因していますが、中には網膜が破れていたり、網膜剥離、硝子体出血などに起因したものもあります。飛蚊症を自覚している患者様は一度眼科を受診し眼底の精査を受けることをお勧めします。早期の場合は網膜が破れている状態だけ当院に装備している網膜光凝固装置で簡単に治療することができます。

網膜剥離

眼球はカメラと構造がにており網膜はカメラのフイルムに当たるものです。光がフイルムに相当する網膜に当たると網膜の視細胞が光を電気信号に変えて、視神経を介して脳に情報を伝え画像が見える、という構造になっています。
網膜は内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、網膜色素上皮層の10層の組織から構成されています。網膜色素上皮層以外の部分を感覚網膜といい、網膜が何らかの原因で網膜色素上皮層から感覚網膜がはがれた状態を網膜剥離といいます。

■網膜剥離の分類
(1)裂孔原性網膜剥離
網膜剥離の中で最も多くみられるもので、網膜が破れ網膜に孔があき(網膜裂孔・網膜円孔)、目の中にある液化した硝子体がその孔を通って網膜の下に流れこみ網膜剥離が発生します。この時飛蚊症が急激に増加したり、光視症といって目を閉じていても光のような物がみえるといった現象があることも多くこのような症状が発症した患者様はすぐ眼科を受診しましょう。早期の場合は当院にある網膜光凝固装置で治療することができます。網膜は痛みを感じる神経がなく、また網膜の周辺部から病気が発症するための飛蚊症、光視症以外の自覚症状はありません。しかし網膜剥離が進行するとやがて視野狭窄、黄斑部までたっすると強い視力障害が生じます。
網膜に孔が開く原因として、加齢現象に伴う網膜の脆弱化・高度近視などに伴う網膜の変性、萎縮・外傷などがあります。
剥がれた網膜は色素上皮の外側の脈絡膜からも切り離された状態にあるため栄養が十分行き渡らなくなり、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の働きが低下して網膜の神経細胞が死滅してしまいます。そうなると、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても(復位したとしても)、視力、視野の改善はあまり望めません。(特に黄斑部が剥離した場合)
網膜剥離はどの様な目でも発症しますが遠視・正視よりも近視、特に強度近視でより多くみられ、またどの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが20代と50代の人に多く発症するという統計があります。
(2)非裂孔原性網膜剥離
牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。裂孔原性網膜剥離と同様に網膜剥離が起きた状態ですが、原因、経過はさまざまであり裂孔原性網膜剥離とは大きく異なります。
牽引性網膜剥離は眼内に形成された増殖膜あるいは硝子体などが網膜を牽引することにより網膜が剥離して起きます。重症の糖尿病網膜症などでみられます。
滲出性網膜剥離は、網膜内あるいは網膜色素上皮側から何らかの原因で滲出液が溢れて網膜の下に溜まり網膜が剥離してしまった状態です。ぶどう膜炎などでみられます。

■裂孔原性網膜剥離の検査
瞳孔を大きくする目薬を点眼し(散瞳)、網膜が剥離しているかどうかを調べる眼底検査を行います(単眼倒像鏡、双眼倒像鏡、スリーミラーなどを使用した眼底周辺検査)。
■裂孔原性網膜剥離の治療
早期の状態で網膜裂孔・円孔だけであれば、当院に設置してある網膜光凝固装置により網膜剥離への進行が予防できます。すでに網膜剥離が進行してしまった場合、観血的な手術が必要となります。
手術は大きく分けて2つの方法があります。
一つは目の外から網膜裂孔に相当する部分にシリコンバンドなどをあてて、さらに孔の周りに熱凝固、冷凍凝固、網膜光凝固などを行って剥離した網膜を後ろの膜に癒着させ、必要があれば網膜の下に溜まった水を眼球外部から抜くというやり方です(バックリング手術ともいわれ最も代表的な手術です。)。必要に応じて、シリコンバンドの範囲を眼球の一部にだけあてるのではなく、眼球を輪状に縛ることもあります(輪状締結術)。剥がれた網膜の癒着をよくするため眼内に空気や特殊なガスを注入することがあります。
この場合は手術後にうつぶせなどの体位制限を伴う安静が必要です。
もう一つの方法は、目の中に細い硝子体切除用のカッターを入れ、目の中の硝子体を除去し網膜の牽引を除去する方法です。網膜の下に溜まった液化硝子体は眼球内部から特殊なカニューレを用い吸い出します。(この手術は硝子体手術といわれています。)この方法では、剥がれた網膜を癒着しやすくするため、ほぼ全例で目の中に空気や特殊なガスあるいはシリコーンオイルを入れます。この方法においても手術後にうつぶせなどの体位制限が必要となります。

アレルギー性結膜炎

結膜に発症したアレルギー性疾患です。花粉症に代表されるようにアレルギーの原因となる物質(花粉症の場合は花粉)にさらされたため発症した結膜炎の総称です。治療法は抗アレルギー薬の点眼が有効ですが症状の強い場合はステロイドの点眼薬を併用することもあります。花粉症のようにアレルギーの原因がはっきりしている場合は外出時に花粉症用の保護眼鏡を装着するなどの処置をとればかなり症状を軽減することができます。また、毎年発症する時期が決まっている患者様はその時期より早くから眼科を受診し点眼薬の投与を開始した方が発症したときの症状も軽くおさえられます。

季節性アレルギー性結膜炎の原因

  • 1-5月:杉花粉
  • 3-5月:ひのき花粉
  • 5-7月:カモガヤ花粉
  • 8-10月:ブタクサ花粉

通年性アレルギー性結膜炎の原因

ハウスダスト、ダニ、カビ、動物の毛など

加齢黄斑変性症

網膜で最も重要な部分である黄斑部が変性し強い視力低下を生じる疾患です。最近では特殊なレーザー治療機器(ビスダインという薬剤を注射して病変部にレーザーを照射する治療法で光線力学的療法PDTといわれています。)や硝子体内注射液(抗血管新生療法といわれ血管内皮増殖因子VEGFの作用を抑える薬剤を硝子体内に注射)が開発され以前より予後は良くなってはいますが残念ながらまだまだ予後が悪い疾患であることには変わりありません。眼科で長期にわたる眼底検査が必要です。当院のOCT(眼底3次元画像解析装置)でより精密な診察が可能です。

眼鏡、コンタクトレンズ

近視などの屈折異常に起因した視力低下に対し最も簡便で有効なのは眼鏡やコンタクトレンズであることは現在においても変わりありません。コンタクトレンズの利点は眼鏡で生じる眼精疲労の軽減や近視、乱視の強い患者様の視力の完全矯正が可能で眼鏡より良好な視力を得られる点にあります。しかしコンタクトレンズは直接眼に接するため定期的な健診を忘れてはいけません。(コンタクトレンズは透析器、人工骨、人工呼吸器などと同様の高度管理医療機器に認定されています。)

眼鏡の処方

まず屈折度数を測定します。
視力表を見ていただき最高矯正がでる度数を決定します。近視の場合は最高矯正ができるレンズのなかで最も度数の弱いレンズ、遠視の場合は最も度数の強いレンズを選択します。次に患者様がどのような用途で眼鏡を使用するかによって度数を調節します。(左右の度数が2ジオプターをこえる不同視の場合はよく配慮して度数をきめます。)小さなお子様の場合は調節緊張などにより度数が実際の場合と異なっていることもありますので始めに調節麻痺剤の点眼(サイプレジンなど)を用い屈折度数を確認してから眼鏡の作製を行うこともあります。度数がきまったらしばらく装用していただき見え方に違和感がないか確認をしてから処方箋をお書きしています。

コンタクトレンズ作製

コンタクトレンズは直接角膜にレンズがふれるためレンズの形態が非常に重要となります。まず角膜の曲率半径を求めその値前後のカーブのコンタクトレンズを装着します(このレンズのことをトライアルレンズといいメーカーやレンズの種類により微妙に異なります。数値だけでコンタクトレンズの処方賎を出せないのはそのためです。)細隙灯顕微鏡で角膜形状に最もてきしたカーブのレンズを選択します。(フィティングチェック)つぎにそのレンズを装着したまま視力を測定しレンズの度数を決定します。コンタクトレンズの装用練習、ケア方法等説明をさせていただきコンタクト作製が終了いたします。

眼精疲労

眼を使う作業を長時間、毎日連続して行うことにより眼をやすめても眼痛、充血、頭痛、肩こりなどの全身症状が続く状態をいいます。疲れ目(眼疲労)の場合は休息、睡眠を十分取れば改善しますが眼を使う作業を長時間、毎日連続して行うことによりしだいに眼をやすめたり休息をとったりしても症状が改善しなくなり眼精疲労の症状となっていきます。眼精疲労の原因としては眼を使う時間のみでなく眼鏡が合っていないものを使用したり緑内障、白内障の初期にも発症しますので眼の定期的な検査が必要です。最近ではパソコンの作業が増加したため眼精疲労の患者様が増加しています。

VDT症候群(ビジュアルディスプレイターミナル症候群)

パソコンなどのディスプレイを用いた作業を長時間行った結果眼のみならず身体に影響を及ぼす疾患です。(テクノストレス眼症ともよばれています。)予防法としては1時間毎に10分程度の休息をとることや軽い体操をして体をほぐす、遠くを見て眼の緊張をやわらげるなどの方法があります。

ブルーライトによる眼への影響

最近パソコンなどのLEDディスプレイで仕事をする機会が多くなっている方が多いとおもわれます。LEDディスプレイ、LED照明の発する光のなかにブルーライトは多くふくまれています。人が見ることができる光線のなかで最も波長が短いとともにかなり強いエネルギーも有しています。ディスプレーを用い作業した場合かなり眼にふたんがかかるため厚生労働省からも1時間の作業に対し15分程度の休息をとるよう推奨されています。ブルーライトは角膜、水晶体を通過して網膜にも影響を与えます。ブルーライトは最近では加齢黄斑変性症の発症に関係があるとの報告もなされています。ディスプレーを用い作業する場合はブルーライトから眼をまもる眼鏡を使用することをお勧めします。

仮性近視(調節緊張)

若年者によくみられる状態でパソコン、スマートフォンなどのディスプレイなど近方を長時間毎日見る作業を繰り返すと水晶体の厚みを変える毛様体が緊張し続ける状態となり眼の調節力がうまく働かなくなります。その結果実際より近視が強い状態になります。毛様体の緊張を麻痺させる点眼薬(アトロピン、サイプレジンなど)を使用し検査をしますと診断が確定します。調節をまひさせる点眼薬(ミドリンM)の点眼を使用することで症状は改善することはありますが、残念ながら日常生活を変えることは不可能なため治癒しにくいのが現状です。

結膜下出血

結膜下の小さな血管が破れ出血した状態で、一見強い充血のようにみえます。眼が重くかんじることもありますがなにも症状がなく鏡を見たとき患者様が偶然気がついた、他の方から指摘され気がついたなどの状態が多いようです。(白目の部分が鮮明に赤くそまるため一度経験した方は医師の診断を受けず自己診断をしてしまう場合もありますが、充血が極端に強い場合は区別がつきにくいため診察を受けましょう。)通常の結膜下出血は眼球内部に血液が入ることはありませんので美容上の問題のみで視力障害を起こすことはありません。治癒するまでの時間は様々ですがほとんどの場合自然治癒します。
しかし眼外傷後(眼の他の部位に障害が発症している可能性があります。網膜剥離の原因である網膜裂孔、眼底出血、角膜炎、虹彩炎など)結膜炎の症状がある時(アデノウィルスに起因した結膜炎など)、結膜下出血の頻度が多い場合(動脈硬化、高血圧、糖尿病などの全身性疾患)では必ず眼科を受診しましょう。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)とはまばたきがうまくできなくなる病気でまぶたが垂れ下がって閉じてしまうこともあります。
眼瞼けいれんの人の顔の特徴は1、まばたきが多い。2、伏し目がちである。3、まぶたを閉じることが多い。4、眉間に縦じわがある。5、額と鼻の付け根のところに横にしわがある。などがあげられます。
眼瞼けいれんと病態は目の周りの筋肉が収縮して目が開けにくくなりまばたきがうまくできなくなることです。40歳代後半以降に多く特に女性に多くみられます。

眼瞼痙攣の症状

まぶしい、目を開けていられない(目を閉じた方がらく)、目が乾く、目がしょぼしょぼするなどの症状があります。

眼瞼痙攣の原因

  • 1、本態性眼瞼けいれん:原因となる病気や薬剤との関連が考えられないもの
  • 2、症候性眼瞼けいれん:パーキンソン病、進行性核上麻痺、脳梗塞などが原因でおきるもの
  • 3.薬剤性眼瞼けいれん:抗うつ薬や抗不安薬などの薬剤を長い間服用して起こるもの。

中でも最も多くみられるのが原因不明の本態性眼瞼けいれんで何らかの原因でまばたきをつかさどる神経の働きに異常がおこるためと考えられています。

眼瞼痙攣の治療法

  • 1、ボトックス注射療法:ボツリヌストキシン(商品名:ボトックス)の注射が使われるようになりかなり良好な結果が報告されています。ボトックスを目の周りの筋肉に注射することにより目を閉じる筋肉の緊張をやわらげるのでまぶたをスムーズに開けられるようになります。
  • 2、薬物内服療法:抗不安薬などの薬が使用されますがあまり効果は期待できません。
  • 3、手術療法:ミュラー筋タッキング術といってまぶたを引き上げる筋肉を短くしてまぶたをひらきやすくする手術もあります。

中心性網膜炎(中心性漿液性脈絡網膜症)

中心性網膜炎は眼底で光を感じとる黄斑部の下に水が溜まった状態です。30-50歳代の男性に発症しやすい病気です。ほとんど片目のみに発症しますが両目の場合もあります。症状としては軽度の視力低下(強い低下の場合もまれにあります。)、中心部分がゆがんでみえたり(変視症)、暗くみえたり(中心暗点)、小さくみえたり(小視症)します。原因不明ですがストレスが誘因となると考えられています。またステロイド剤の副作用で発症しやすくなるとも言われています。
通常予後が良好で視力等症状は改善しますが完全には回復せず一部症状が残ることが多いようです。(再発しやすい疾患なので再発をくりかえすほど症状が残りさすくなります)
初期の症状が加齢黄斑変性とにているため必ず眼科を受診しましょう。

弱視

幼少期に眼の視覚情報が伝わる経路に障害があるため視機能が発育しないため眼が見えなくなる疾患です。大部分は視力発達の感受性期に片目または両目に視覚刺激が十分与えられなかったため視力の発達が止まってしまったり遅れてしまい症状が発症します。原因として多いのは片方、または両方の瞼がさがって目をふさいでしまっている場合、黒目(角膜)の中心部分が混濁している場合(形態覚遮断弱視)、目の位置がずれている場合(斜視弱視)、網膜の黄斑部にピントがあっていない場合(屈折異常弱視)、左右の屈折度数に大きな差があり片方の目しか使用していない場合(不同視弱視)などがあげられます。完全に弱視の状態で安定してしまいますと手術、眼鏡、薬剤等なにをしても視力が不良な目になってしまいます。
視力発達の感受性期に原因となっている状態を治療する必要があります。人間は生まれたときからはっきり物がみえているのではなく生まれた後に外からの光の視覚刺激を受け物をみる能力が発達します。この外からの刺激によって脳の神経回路が集中的につくられる時期を感受性期といいます。人間の視覚感受性は生後1カ月から発育しだし1歳半ごろピークになりその後しだいに衰退し8歳ころまでに消失すると考えられています。この間の感受性のいい時期に最も弱視治療の効果が期待できます。

黄斑円孔

網膜の中心窩に穴があいてしまう病気です。最も視力が鋭敏な部分にできるため高度な視力障害を起こします。60歳前後の年齢層で近視の方や女性に多いとされています。

円孔の出来方

  • ステージ1:加齢により硝子体が収縮するとき硝子体と網膜の癒着が強すぎると中心窩がひかれ本来くぼんでいる形態が平坦になったり前方に浮き上がったりします。浮き上がった網膜の内部には空洞(のう胞)が形成されます。この状態で視力は0.5程度となります。
  • ステージ2:網膜がさらに牽引されのう胞の一部が破れ弁状にもちあがります。視力はさらに低下し見ているものが強くゆがみます。
  • ステージ3:牽引がさらに進み弁状になった中心窩の網膜が完全に引きちぎられます。この状態で円孔が完成するわけです。この状態になりますと視野の中心部分が見えなくなります。

円孔の治療

まず硝子体手術を施行し硝子体を除去します。次に網膜の最も内側の内境界膜をはがします。最後に眼球内部にガスを注入して手術が終了します。ガスを注入することで円孔周辺が圧迫され円孔が小さくなります。すると円孔の部位にグリア細胞という周囲の細胞をつなぎ合わせる細胞が現れ円孔を完全に塞いでくれます。

黄斑前膜(網膜前黄斑線維症)

網膜の上に膜がはった状態を網膜前膜といいますがこの膜が黄斑の上にはった状態が黄斑前膜です。高齢者、特に女性に多い病気です。加齢現象で硝子体が網膜面からはなれる過程でその一部が網膜に張り付く現象がおきます。そこの部分に新たな細胞が増殖したり眼球内の様々な組織が吸着して黄斑前膜が形成されます。黄斑前膜が大きくなるにしたがって視力の低下が進行したりものがゆがんで見えるようになります。

黄斑偽円孔

網膜の中心窩を除く部分にだけ網膜前膜ができその前膜が収縮して盛り上がるとその部分だけ眼底検査をするとくぼんで見えるので偽円孔と呼ばれています。ものがゆがんでみえる場合もありますが通常は視力低下は起こしません。

瞼裂斑

角膜(黒目)の両端(耳側、鼻側)に白または黄色の隆起した組織です。紫外線、乾燥などが要因となるとされていますが体質の要因がかなり多いと思われます。充血をしやすいことが多く美容上気にされる患者様も多いようです。組織学的には結膜膠原線維のコロイド変性と硝子様変性物が沈着したものです。放置しても問題ないものですが 炎症を伴うと異物感が生じることもあります。炎症を伴った場合は消炎作用のある点眼薬を用い治療します。

閃輝暗点

閃輝性の光が視野に現れその後ぼやけ、視野欠損などの症状が10-30分ほど持続します。頭部の片側性のいたみ、悪心、嘔吐を伴うこともあります。脳の視覚中枢の血管の収縮、拡張が原因で片頭痛の前駆症状の一部として発症します(頭痛がない場合もあります。)通常は自然治癒しますが似た症状を起こす疾患もあるため眼科的な精密検査、頭部CT,MRIなど他の病変がないか精査する必要があります。

翼状片

球結膜から角膜中心部に向かって血管を伴い結膜組織が侵入した状態をいいます。鏡で御自身の目を見て白目の内側または外側から三角状の白いものが黒目に入りこんでいる方がいらっしゃると思います。これが翼状片です。翼状片はゆっくりとですが角膜中心部位に向かって拡大していきます。瞳孔領域(瞳の部位)まで近ずいた場合は切除する必要があります。もし放置した場合完全に瞳孔領域を覆ってしまい目が見えなくなります。また切除してもその部位の角膜は混濁してしまい強い視力障害を起こします。(単純切除では再発が多いため遊離自己結膜弁移植を併用する場合が多くなっています)病態として紫外線の障害で角膜と結膜の境界の組織がダメージを受け結膜組織が角膜内に侵入した状態と考えられています。似た病気として偽翼状片がありますがこの病気は角膜の周辺部が障害を受けその修復機転として血管を伴う結膜組織が角膜内に侵入したもので通常その状態より拡大しません。またコンタクトレンズを使用している方で角膜周辺部に慢性的に創ができているとその部位が白く混濁し血管が伴っていなくても肉眼的には翼状片のように見えますがやはり拡張することはありません。

眼と出血

出血とは血管がやぶれ赤血球が血管外にでた状態をいいます。
眼球内、周辺組織にも血管は多数存在しますのでその部位により出血の名前もかわります。
結膜の下の出血を結膜下出血といいます。結膜は眼球のそとの膜でいくら出血しても眼内に入ることはなく視力障害等眼科学的に問題となる症状を起こさない出血ですが美容上の点からきにされる患者様は多いかとおもわれます。虹彩の部分で出血をおこすと前房出血といいます。この部分の出血は軽い場合は霧の中にいるような感覚(霧視)が生じ、軽度の視力障害がある程度ですみますが重症例では強い視力障害が生じ全く物が見えなくなります。出血を繰り返す場合は房水の流出路を血液の成分が塞いでしまい重症の緑内障をおこします。出血が網膜の下の脈絡膜で生じた場合は網膜下出血とよばれ加齢黄斑変性などのように黄斑部に発症した場合重篤な視力障害が生じます。網膜の出血は網膜中の出血、網膜の上に出血が達した場合を網膜前出血、硝子体内まで達した場合を硝子体出血といいます。

高血圧と眼

高血圧の日本人の患者数は約4000万人ともいわれ(心臓が収縮したときの血圧を収縮期血圧といいこの値が140mmHg以上または心臓が拡張した時の血圧を拡張期血圧といいこの値が90mmHg以上の状態を高血圧といいます。)日本人の生活習慣病として最も多い疾患となっています。高血圧になると血管内部に強い圧力がかかり続けるため血管が硬くなってきます(動脈硬化)。動脈硬化が強まればますます高血圧も悪化するという悪循環をおこします。この変化は全身で生じるため高血圧になっている方は眼底血管に何らかの変化が生じている可能性が高いと考えてください。(網膜血管は全身の中で唯一直接血管を観察できる部位です。網膜の血管を観察することで全身の血管の状態を推測することができます。)

高血圧による動脈の変化は軽度の動脈の狭細化からはじまります(Scheie分類H1度)。しだいに狭細化は進行し血管の太さが均等ではなくなります(口径不同)(Scheie分類2度)。この状態までを高血圧眼底といいます。これらの変化は血圧をコントロールすることでほとんどの場合正常化します。
さらに進行しますと網膜出血、白斑が出現します(Scheie分類3度)この状態になりますと高血圧網膜症とよばれます。そして最終的には視神経乳頭の浮腫をおこします(Scheie分類4度)。高血圧網膜症は黄斑に異常がおきないかぎり自覚症状がなく放置されがちです。しかし治療せず放置していると網膜内に虚血した領域ができそこに酸素、栄養をとどけようとして新たな血管が発生します(新生血管)これ以降の過程は増殖糖尿病網膜症と全く同じです。
一方動脈硬化の変化は高血圧が持続すると発症します。眼底を観察しますと血管の変化としてまず網膜血管の中央部が輝いてみえる変化(血柱反射の亢進)からはじまります(Scheie分類S1度)。動脈硬化が強くなるにつれ血管壁の厚みが増し診察時に照射した光の屈折率が変化して反射部分の幅がひろがります。さらに動脈硬化が進行しますと血柱の色がにごり銅線のように見えるようになり((Scheie分類S3度)やがて血管壁が濁って不透明になり血管が白くみえる(銀線動脈)(Scheie分類S4度)ようになります。また動脈硬化お起こしだすと網膜の動脈と静脈が交差している部分にも影響がでてきます。動脈硬化が進むにつれ交叉した部位の静脈を圧迫しその部位のみが他の部位より細くなっていきます(動静脈の交叉現象)。

アトピー性皮膚炎と目

アトピー性皮膚炎は目のかゆみを起こし眼球が変形するほど目を強くかいたり叩いたりして目に様々な病変をおこします。主な疾患として眼瞼皮膚炎、角結膜炎、円錐角膜、白内障、網膜剥離などがあります。白内障、網膜剥離などの眼内に病変が生じる場合顔の瞼周辺に重症な皮膚炎を発症している患者様に多くみられます。(このような皮膚炎は10-30歳代の思春期から成人になるまで皮膚炎が持続したり、この時期に重症化した症例に多く認められ注意が必要です。)
白内障は水晶体の濁り方で分類されます。
1、円錐角膜
円錐角膜は角膜の中央より下の部分が薄くなり角膜の先端が円錐状に突出するために高度の不正乱視が発症する疾患です。アトピー性皮膚炎の患者様の約0.5%に発症します(この頻度は通常の人10倍以上と高率です
円錐角膜の患者様は目のかゆみのためたえず目をこすったり、叩いたりすることが多くこの慢性的な物理的刺激により角膜実質が薄くなることが円錐角膜発症に関連していると考えられています。
円錐角膜は強い不正乱視を生じますので通常の眼鏡を使用しても視力は改善しません。視力改善にはハードコンタクトレンズを装用することが有効ですが、円錐角膜の形状によっては形状を調整した特殊なハードコンタクトレンズの装用が必要なこともあります。また、最近ではレーシックにより治療を行う医療機関もあります。円錐角膜は悪化しますと角膜の中央部分が混濁し視力障害の原因となるため角膜移植が必要な症例も存在します。
2、アトピー性白内障
水晶体とよばれるカメラにたとえるとレンズにあたる部位が混濁することを白内障といいます。多くの方がごぞんじのように白内障は高齢の方に発症しますがアトピー性皮膚炎が顔の部分に強い場合年齢が若い方でも発症します。目のかゆみのため目をこすったり、叩いたりすることが長年続きますと水晶体やその周辺組織に慢性的な物理的刺激が加わり形態的な変化や水晶体をとりまく眼内の環境(房水の組成の変化など)が変化が生じアトピー白内障が発症すると考えられます。アトピー白内障の混濁形態は特徴的なものが多く水晶体の外側に存在する水晶体のうの前側にヒトデ状、クロバー状の形態で混濁が発症します(前のう下混濁とよばれています。)。また後ろ側に皿状の混濁として発症することもあります(後のう下混濁とよばれています。)。いずれの混濁も瞳孔の中心部に発症することがほとんどで強い視力障害をおこします。また加齢白内障の進行は非常にゆっくりしているのに対し、急激に進行し水晶体全体が真っ白に混濁してしまうこともあります(成熟白内障、過熟白内障、膨潤白内障などとよばれています。)。白内障の手術を受ければ眼底に異常がない場合は良好な視力に回復します。

アトピー網膜剥離

アトピー性皮膚炎で生じる網膜剥離は網膜の周辺部の網膜が破れその部位から網膜の下に液化した硝子体が入りこみ網膜色素上皮細胞から網膜の感覚網膜層がはがれる状態で通常の裂孔原性網膜剥離と病態はおなじです。通常の裂孔原性網膜剥離との違いは発症年齢が若いことにあります。アトピー網膜剥離の約70%は15-25歳に発症し、約40%は両側性です。また網膜の裂け目(網膜裂孔)が通常の裂孔原性網膜剥離より大きいことが多いのも特徴で外傷でみられる大きな網膜裂孔が発症して急速に進行することもあります。
アトピー網膜剥離の原因は
1、網膜が生まれつき脆弱である
2、網膜に慢性的な炎症をおこしている

3、患者様がつねに目をこすったり叩いている
などが原因として考えられています。治療法は網膜裂孔の大きさ、網膜剥離の範囲にもよりますが通常の裂孔原性網膜剥離とかわりません。