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お知らせ

視力検査

2022年07月20日


視力検査には自覚的検査法と他覚的検査法があり、主として自覚的検査法が行われます。

自覚的検査法とは視力表をみて患者様に答えてもらう方法でほとんどの皆様が経験したことがある検査法です。他覚的検査とは小児など自分で意思表示ができない状態のとき眼振を利用しておおよその見え方を測定する方法です。

 

視力の単位

視力は、2点を2点として見分けることのできる最小視角で表わします。

 

遠視をのぞけば眼と物体の距離が近ければ小さい物でも見えますが、遠ければ大きい物でないと見えません。

視力を測定するにはLandolt(ランドルト)環といってCのような形をした指標を用います。円の一部を削除したような指標で指標の大きさと削除した切れ目の割合は同じになっています。指標が小さいもので切れ目の位置が把握できる限界の状態を視力といいます(眼科でいう視力とは一番よく見えるレンズを使用したときの視力をもって視力とし、裸眼視力のことではありません)

 

視力の種類

  • 遠見視力と近見視力

普通5mの距離で測定するものを遠見視力といい、30cmの距離で測定するものを近見視力といいます。屈折状態など様々な要因によって近見視力と遠見視力は同じ値をとるとは限りません。(小児では脳の識別力の差などから遠見視力に比べ近見視力のほうが良いことがあります。)

 

2,両眼視力と片眼視力

両眼で見たままの視力を両眼視力あるいは両眼開放視力といいます。両眼視力のほうが片眼視力より良いことは学会などでも認められています。(特に潜伏眼振では、両眼視力が片眼視力より著しく良い場合があります。片眼を隠すと眼振が起こって視力が低下することがその原因となっています。)

 

3,字づまり視力と字ひとつ視力

字づまり視力は視力表のような並列視標を用いて測定した視力であり、字ひとつ視力は単一視漂といってそれぞれの視力に対応した1個つずつの視標を用いて測定した視力のことで、通常視標としてランドルト環を用います。小児や弱視では、字づまり視力のほうが字ひとつ視力より不良で、この現象を読み分け困難といいます。

 

4,裸眼視力と矯正視力

屈折異常を矯正しないで測定した視力のことを裸眼視力、屈折異常を矯正して測定した視力のことを矯正視力といいます。眼科で視力といえば矯正視力を意味します。したがって、眼科で視力が悪いというのは矯正視力が不良であること意味しており裸眼視力が悪いことは視力が悪いとはいいません。(身体障害者の視覚部門の視力も矯正視力のことです)

 

自覚的視力検査法

標準的な遠見視力検査法

検査条件

 

わが国では種々の視力表が用いられていますが、いずれも国際標準視標であるランドルト環または、それをもとにした文字視標が使われています。視力表の標準照度は200ルクスが採用されていますが、通常の臨床では500~700ルクスが使われています。検査室は原則として明室、その照度は50ルクス以上ときめられています。

 

検査法

5m視力表を用いた場合

被検者を視力表から5mの距離をおいた位置に座らせ、1.0の視標が眼の高さ前後にになるようにし、通常、検眼枠に遮閉板や遮閉子を用いて、片眼ずつ測定します。並列視力表の場合、同じ段の視標が半数以上わかれば正読とし、その段の視力を視力とします。同じ段の視標が半数以下しかわからない場合にpを付記して記載することがあります。(例:1.Op)。視力の表記は、右眼:RV=0.1または Vd=0.1、左眼:LV=0.1またはVs=0.1などと記載します。視力が0.1以下の場合は(5mで0.1の視標が判別できないときは)、被検者を0.1の視標が読めるまで前方に進ませるか、検者が0.1の視標を持って、判別できるまで近づいて測定します。その距離a(m)を計り、0.1×a/5の値を視力とします(1mの場合0.1×1/5=0.02となります)。50cmの距離で視標がわからないときは眼前で指の数をあてさせ、20cmでわかれば20cm指数弁(20cm/n.d.あるいはc.f.)とし、指数がわからない場合は、眼前で手を動かして動きを判別できるかを聞き、眼前手動弁(m.m.あるいはh.m.)とします。手動がわからず明暗を判別できれば光覚(s.1.あるいは1.p.)とし、光も感じない場合は0とします。

自動検眼鏡システムを使用した場合も検眼枠にレンズをいれたり遮閉板を入れる動作やレンズの交換がパネルのボタンを押すだけで素早くできるようになるため視力測定がより簡単にできるようになりますが基本的な原理は5m視力表を用いた場合と同じです。

 

近距離視力検査法

遠見視力と同じ考え方で種々の近見視力表があります。これを眼前30cmの距離に置いて、遠見視力と同じように視標を判読してもらい、視力値とします。

 

小児の視力検査法

 

検査の基本原理

小児では通常の視力表では読み分けが困難であるため、単独のランドルト環による字ひとつ視力で測定します。字ひとつ視力測定は3歳以上で可能で、10歳くらいまでは字づまり視力より良い数値がでます。ランドルト環による視力測定が困難な場合には、それをもとにした絵視標が使われることがあります。

 

検査法と判定

片眼を遮閉し、5mの距離からランドルト環単独視標の大きいものから小さいものへと順次示し、ランドルト環の切れ目を答えていただきます。判定は上下左右の4方向のうち3方向以上正解した視標を視力とします。

 

乳幼児の視力検査

乳幼児は無地より縞模様を好んで見るという特性があり、これを応用したPreferential-looking法(PL法)とよばれる検査方法が考案されています。

 

視力検査にあたり注意すべき点

眼を細めてみていないか:眼を細めると焦点深度が深くなり、真の視力より良くなります。

前かがみの姿勢になっていないか‥視力表までの5mの距離が不正確となります。

片眼遮蔽がきちんとされているか‥隙間から見ていることがあります。また、遮閉子が圧迫していると開放したときに視力がでにくい場合があります。

視力検査にあまり時間をかけない‥小児ではあきてしまい、結果が不正確になります。

 

感触覚約視力検査法

幼小児や心理的要因による視力障害などで、自覚的検査の信頼性がない場合には、他覚的に視力を検査することがあります。

視運動性眼振を利用する方法、視覚誘発電位を用いる方法があります。