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お知らせ

緑内障治療薬を長期間使用するための問題点。

2023年01月26日


緑内障は早期発見ができれば点眼薬で視野および視機能を長期保つことができます。
現在では眼圧下降作用が優れていることからプロスタグランジン関連薬(キサラタン、タプロス、トラバタンズなどの点眼薬)がファーストチョイスとされています。
これらの薬剤は点眼後ぬらしたティシュかガーゼですぐふきとるか目をとじて洗顔しないと長期投与により目のまわりが黒ずんだり(患者様の約6割の方が嫌がっている副作用です)睫毛が多くなったり、長くなったりするなどの変化や上眼瞼溝深化(DUES)などの副作用があらわれることがあります。
緑内障の治療は重要なものなのでその様な副作用が発症しても点眼薬を使用することが重要です(患者様の使用上の課題もありますので後述します)。
最近ではオミデネパグ イソプロピル点眼薬(エイベリス点眼液0.002%)が開発されておりこの点眼薬を使用することにより点眼後に目の周辺の薬剤をふきとらなくても前述した副作用が発症しないようになってきています。
しかし充血の発現頻度が高いこの点眼薬は白内障の手術を受けた方に使用すると視力をえる感覚機関で最も重要な部位である黄斑部に浮腫を発症することがありこの場合強い視力障害をおこします。
また、チモロールマレイン酸塩(チモプトール点眼など)との併用で眼の炎症を起こす頻度が上昇するなどの報告もあり手軽に使用できる万能薬とはざんねんながら言えない部分もあります。
また非選択性β遮断点眼薬(チモプトール、ミケラン、リズモン点眼など)は充血などの副作用はほとんどなく心臓疾患、喘息などの加療をうけている方以外には使用可能で患者様からの評判はよく今日のように強力な眼圧下降作用がある点眼薬が存在していなかった時代には主力の点眼薬でした。
現在は軽度の緑内障の場合やプロスタグランジン関連薬の効果が不十分の場合追加処方されたり、プロスタグランジン関連薬との合剤(タプコム配合点眼、ザラカム配合点眼、ディオトラバ配合点眼など)として使用されています。
緑内障の治療薬は多数存在しますがそれぞれ使用する上での副作用がありますが、患者様に嫌がられている点眼薬を処方しても長期の使用は困難で点眼薬を処方した意味がなくなってしまいます。
しかし緑内障が進行してしまった症例では充血が強くなったりプロスタグランジン関連薬にみられる副作用が発症しても点眼薬の使用をやめられない事情もあります。
経過を観察しながら緑内障の進行状態を十分把握した上で緑内障の進行予防を確認しバランスのとれた患者様に嫌がられない組み合わせで点眼薬を処方していくことが重要でしょう。