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緑内障の問題点

2025年05月08日


緑内障は視神経が次第に減少していき視野欠損などの自覚症状が全くない正常眼圧緑内障が大部分をしめています。健診で視神経乳頭陥凹拡大を指摘された方は眼科に必ず受診しましょう。よく眼圧のことを患者様から聞かれることもありますが眼圧が正常な正常眼圧緑内障が緑内障全体の80%以上を占めているため眼圧のみでなく三次元画像解析装置(OCT)、視野検査を受けることが重要です。また緑内障のタイプは眼の形により大きく開放型と閉塞型に分類できます。正常眼圧緑内障は眼の視神経が弱いため通常の人では耐えられる眼圧(20mmHg以下の眼圧)でも視神経に負担が多く次第に視神経の数が減少してしまうタイプの緑内障で緑内障の程度にもよりますが点眼薬を用い可能な限り眼圧を下降させ視神経の負担を減らすことが重要です。問題点としては患者様が自覚症状がないため点眼薬を中止してしまったり眼科受診も中断してしまうことにあります。面倒まことに感じるかもしれませんが正常眼圧緑内障は一生管理していかないといけない疾患で放置して悪化した場合には手術をしても治癒しない疾患です。(正常眼圧緑内障の手術は眼内の房水と呼ばれる水の流れを良くして静脈ㇸ房水を流れ出しやすくし眼圧を可能な限り下降させ視神経への負担を減らす治療であって減少した視神経の数を復帰させる根本治療ではありません。視神経の再生技術は現代の医療では不可能なのです)。

 また眼の形により隅角と呼ばれる房水を静脈に流すフィルターとも言える部分の幅が正常である型の状態を開放隅角といい狭い型の状態を閉塞隅角(原発閉塞隅角症ともいいます)といいます。さきほど記載した正常眼圧緑内障は解放隅角でも閉塞隅角でも発症します。薬剤のなかには隅角を使用により現状より狭くしてしまう薬があります(薬のみでなく様々な要因が重なって発症することがあります)。開放隅角ではどの薬を使用しても問題ありませんが閉塞隅角では場合によって房水が静脈に流出する経路を完全に閉塞させてしまう場合があり(この場合は急性閉塞隅角緑内障といいます)この場合は突然眼に激痛、頭痛が発症し高度視力障害が発症します。眼圧も60mmHg程度まで上昇することもあります。よく緑内障の方は使用禁止と書かれている薬は閉塞隅角の場合であり開放隅角の場合には緑内障の場合であっても問題はありません。これらの一番の問題点は正常眼圧緑内障であっても眼科医に相談しない限り閉塞隅角か開放隅角かご自身で患者様がわからない点やさらに自覚症状もないため健診すらうけていない方も多いところにあります。(一般的な健診では眼底検査で視神経乳頭陥凹拡大、眼圧のみしか異常を指摘されず、閉塞隅角、開放隅角かは眼科を受診しなければわかりません)。

薬局では過去に緑内障の点眼薬を使用していた履歴から緑内障の場合使用してはいけない薬を推定するしか方法がないため閉塞隅角、開放隅角なのかは情報が伝わらないため残念ながら完全な情報は眼科医との間にはできていません。特に問題なのは近い内全身麻酔の手術を受ける患者様の場合で全身麻酔では確率は低いといっても閉塞隅角から急性閉塞隅角緑内障を発症する要因が薬、患者様の体位から発症しやすくなるため注意が必要です。

しかし、急性閉塞隅角緑内障は早期であれば房水の流出経路を手術により作成してしまえば治癒するため全身麻酔を受け翌日強い眼痛、視力障害が発症した場合には看護師のかたにすぐ報告して眼科受診(手術ができる施設)をすれば手術により治療が可能です。

日頃眼の症状がなくても健診を受けまた健診で正常といわれても閉塞隅角か開放隅角かは不明なので30歳以降になりましたら症状がなくても眼科を受診しましょう(閉塞隅角かどうかは眼科を受診しなければわからない所見です)