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お知らせ

眼底の検査について

2022年10月17日


眼底を検査する方法は数十年前から存在している直像鏡、倒像鏡(単眼、双眼)、90Dレンズ、スリーミラーなどを用い細隙灯顕微鏡を利用して検査をする方法が今日でも主流になっています。散瞳薬を用いて観察することにより周辺の眼底の観察を行うことができます。

また眼底カメラを用いた検査も機器の進歩により高い精度で眼底の観察が可能になってきました。特にデジタルカメラの画素数の向上でより精密な眼底検査を行うことができるようになってきました。(検診では散瞳せず眼底の写真撮影をする無散瞳カメラが使用されることが多いのですが検診の目的が糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、緑内障などの後極部病変の早期発見を目的にしているためそれで十分だと思われます。最近はより広角の範囲を撮影することができる機器も開発されています。)

 

■眼底カメラ撮影

眼底所見を記録するために、眼底カメラを用いて撮影します。広角眼底撮影が可能な機器では約200°の広範囲眼底写真を撮影することも可能です。無散瞳カメラの様に散瞳しない状態で眼底の観察ができませんが通常の眼底カメラのほうが散瞳した状態では眼底の状態を網膜の周辺部まで撮影が可能です。

 

■蛍光眼底造影

網膜の血行動態は単純な眼底カメラのみでは観察ができません。腕の静脈から造影剤を静脈注射し、眼底に循環してきた造影剤に励起光を当て蛍光フィルターを通し、その動態を眼底カメラで経時的に連続撮影または動画撮影することにより眼病変をさらに詳細に観察することができます。組織異常があると蛍光漏出などさまざまな動態を示し、眼底疾患の診断と治療、病態の診断に役立ちます。

造影剤は観察目的によってフルオレセインナトリウムとインドシアニングリーンを使用します。撮影機器によっては同時に2種の造影ができるものも販売されています。

 

■フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography;FA)

フルオレセインナトリウムを静脈注射し、フィルターを通した撮影装置で連続的に血管造影をすることができます。フルオレセインナトリウムは正常の網膜血管壁と網膜色素上皮は通過しませんが、眼血管や組織に異常があると無還流領域の描出や蛍光漏出などさまざまな動態を観察できます。フルオレセインナトリウムの静注における副作用症状には、アナフィラキシーショック、心停止、悪心、嘔吐、じんましんなどがあるため比較的安全であるといわれていますが、急変に備え、常に救急処置ができる準備を整えておく必要があるため一般の診療所では施行する施設はほぼありません。

 

■インドシアニンクリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography)

FAと同じようにインドシアニングリーンを静脈注射して、撮影装置で連続血管造影をします。インドシアニングリーンは網膜色素上皮下の脈絡膜血管を透見できるので、特に、脈絡膜の血管や循環、脈絡膜新生血管の検出に有用です。インドシアニングリーンは、肝機能検査に使用されている薬剤であり、安全性は高く、悪心、嘔吐などの副作用は非常に少ないとされています。また、近赤外光を用いて撮影するので、被検者は観察光を感じないためにまぶしく感じることはほとんどありません。

 

■眼底自発蛍光撮影(autofluorescence;AF)

青色光を主とした励起光で網膜色素上皮内のリボフスチンの蛍光を観察し、網膜色素上皮の機能を推測するもので、造影剤を使用しないで観察可能です。網膜色素変性、黄斑ジストロフイ、加齢黄斑変性といった網膜外層から脈絡膜にかけた疾患の診断に有用です。

 

■光干渉断層計(OCT)

眼に照射して反射してくる光線と元の光線が干渉して作る映像から網膜の断層を描写する装置です。網膜をCTスキャンのように断面を観察でき網膜内、網膜下、脈絡膜の微細な病変の診断が可能です。非接触、非侵襲に検査ができ現在眼底の疾患の診察に必要不可欠な装置となっています。OCTは加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症を含めた多くの網膜疾患の診断にも利用されています。また、網膜神経線維層の厚みの測定ができることから緑内障の診療にもかかせない機器となっています。

 

■OCTアンギオグラフィー(OCTA)

OCTは光の干渉作用を利用して網膜組織の断層画像を描写する装置ですがOCTアンギオグラフィーは反射してくる光線の動的信号のみを画像化する装置です。網脈絡膜で動きがあるものは血管内の血液のみで、血液の動的信号を画像化することによって網脈絡膜の血管を描写することがでっきます。造影剤を使用することなく短時間で網脈絡膜の血管を画像化し三次元情報を得ることができます。糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症の無血管部位を描写することが可能です。しかし造影剤を利用しないため血管からの漏出部位が検出できないことが欠点です。(中心性漿液性脈絡網膜症のような漏出部位が治療に重要な疾患にはあまり有用ではありません)