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白内障について

2024年05月09日


水晶体が濁った状態を白内障といいます。よく診察中に私は白内障でしょうかと聞かれることがありますが白内障は微小な水晶体の混濁があっても白内障と診断できるため通常の疾患と異なり白内障であればすぐ手術をしなければいけないと考えなくてもよい疾患です。(通常加齢現象で進行していく疾患ですから一生白内障にならないですごす方はいません。視力障害が発症した場合に病気と認識するといいでしょう)
水晶体は眼をカメラに例えるとレンズに相当する部分で角膜、前房、から入った光による情報を網膜の黄斑部に焦点をあわせてものを見る働きをしています。焦点の合わせ方は水晶体の厚みを毛様体筋などを使って変え黄斑部にピントがあうようにする仕組みが脳の神経により自動的にできています。各人により角膜の形状や角膜から黄斑部までの距離の違いにより眼鏡などを使用しないと黄斑部に焦点を合わせられない場合もあったり加齢現象により水晶体の厚みを変化させられなくなったりする場合があり近視、乱視、老眼用の眼鏡が必要になる場合があります。しかし白内障になりますと十分な光の情報を水晶体の混濁により光をブロックしてしまうため黄斑部に届けることが不能になってしまいます。この場合には眼鏡などをもちいても光が黄斑部に十分に達しないため視力は矯正できません。(患者さんのなかでは眼鏡を用いれば視力は改善すると考えている方がかなりいらっしゃいますが白内障などの病気があると眼鏡でも十分な視力は得られなくなります。)水晶体の濁りは通常加齢現象により発症しますので年齢が高いほど濁りの程度はゆっくりと強くなっていきます。しかし糖尿病があったりアトピー体質の方では若いうちから水晶体の混濁がはじまることもあります。このような場合水晶体の前方の一部が混濁したり(前のう下白内障といいます)、後方の一部が混濁したり(後のう下白内障といいます)する特殊な水晶体の混濁が発症しますが混濁部位が瞳孔の中心部位に位置するとわずかな混濁でも強い視力障害が発症します。

加齢現象による白内障でも各人により寿命が異なるように進行のスピードがことなります。また知り合いの方で白内障の手術を受け非常に視力があがって満足している人の話を聞くと自分も手術をしようと考える方も多いでしょう。しかし満足度の違いは個人差があり視力が悪くなって手術をした場合には改善したときの満足度が高いため(矯正しても0.4程度しか視力が出ない方が術後1.0まで視力が改善した場合には満足度がたかいでしょうが視力が1.0の方が手術をして矯正して1.0までしか視力が出なかった場合には満足度はほとんどありません。)眼科を受診して矯正視力が0.6程度まで下がってから手術をした方が満足度が高いと言えるでしょう(例外として前術した全身疾患があり若いうちから視力障害が発症した白内障は進行が速い場合が多いため早期に手術をしたほうが合併症も起こらず経過も良好となるためいいでしょう)。患者さんのなかには不便を感じず相当視力が下がっても手術をしたがらない方もいますがあまり放置していますと水晶体が硬くなり手術の合併症も増えるため注意が必要です。白内障は手術の機器の進歩により非常に安全な手術となってきていますが眼球を微小でも切開しないでは手術はできず当然しっかりと術後の管理をしないと術後感染症を発症する可能性もごくわずかではありますがありえます。また偽落屑症候群などの特殊な疾患を持っている眼の方は皆さまがご存じの白内障手術時に挿入する眼内レンズの偏移も合併症として存在し術後の視力向上の妨げとなります。白内障の手術前に医師から近くの視力を優先するか遠方の視力を優先するか聞かれて手術を受ける場合が多いと思いますが文字をみることやパソコンやテレビを見る生活を送る方が大部分なので中間距離に焦点を合わせる方が大部分だと思われます。(白内障の手術を受ける方は調節力がすでになくなってしまっているので遠近が見える多焦点眼内レンズを用いなくても術後眼鏡で視力調整を行えば十分満足できるでしょう。こだわりのある方は多焦点眼内レンズをえらばれるでしょうが人によってはフォーカスがあまいなど不満を訴える方もいらっしゃいますので手術の前に術者の先生と相談してきめてください。)

高齢者社会になり白内障の患者様はますます増加していくでしょう。手術のなかでは最も安全な手術といってもいいぐらい白内障の手術は進歩していますので視力が下がって困っている方は眼科を受診し医師に相談しましょう。