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眼瞼の腫瘍 (埼玉医科大学 小幡先生の論文から引用)

2022年02月14日


眼瞼の腫瘍性疾患は日常しばしば見かけます。患者様でも鏡で御自分の顔をみれば異常にすぐ気ずくでしょう。しかし放置しよいか治療が必要なのかは御自分で判断せず眼科を受診しましょう。細隙灯顕微鏡所見のみの検査でもかなり診断がつく場合が多いと思われますが良性か悪性かの判断が難しい場合もあります。悪性腫瘍は早期発見・早期
治療が何よりも大切ですのであやしい病変では切除して病理学的な診断が必要でしょう。

1.腫瘍と腫瘤の違い
 腫瘍は細胞が自律的に増殖するものの名前です。この定義からすると嚢胞や肉芽腫は厳密には腫瘍ではありません。しかし、嚢胞や肉芽腫と腫瘍との鑑別が難しいことがあります。このような場合、腫瘍と言わずに,腫瘤という広義の言葉が用いられます。
 2.良性腫瘍と悪性腫瘍の違い
 腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍に大別されますが、悪性腫瘍の特徴は増殖が速く無限に増殖し、転移を起こしやすく、放置すると生命が脅かされるということになります。良性腫瘍は一般的に増殖が遅く、あるところで自然に増殖が止まり、転移することはありません。しかし、良性腫瘍でも悪性腫瘍でも手術で取り残しがあると局所再発します。
 3.頻度の高い眼瞼良性腫瘍
 皮膚には多くの腫瘍が発生し、眼科医がすべてを把握するのは困難です。そこで,頻度の高い眼瞼腫瘍だけでも把握しておくことが重要になります。過去の我が国の報告によると頻度の高い眼瞼良性腫瘍(嚢胞性病変を含む)は、母斑細胞母斑、脂漏性角化症、類表皮嚢胞です。
 4.頻度の高い眼瞼悪性腫瘍
 頻度の高い眼瞼悪性腫瘍は脂腺癌と基底細胞癌です。過去の我が国の報告をまとめる
と両者のみで眼瞼悪性腫瘍の74%を占め、脂腺癌と基底細胞癌は2大眼瞼悪性腫瘍と
言えるます。次に多いのは扁平上皮癌で11%となっています。
 5.眼瞼腫瘍の良性と悪性の割合と年齢
 眼瞼腫瘍のおよそ7割は良性で、3割は悪性です。また、悪性腫瘍の診断時の年齢は
良性腫瘍の年齢より有意に高くなっています。小幡先生によりますと、眼瞼良性腫瘍161例の平均年齢は61±19歳、眼悪瞼性腫瘍73例の平均年齢は75±11歳であったと報告されています。高齢者の眼瞼腫瘍は悪性の可能性を念頭に置くことが大切であるといえるでしょう。
 6.諸外国との比較
 眼瞼悪性腫瘍の発生頻度には地域差があります。
アジアでは欧米に比べて脂腺癌が多く、欧米では脂腺癌は稀で基底細胞癌が多いというのはよく知られています。脂腺癌はアジアの中でも日本、韓国、中国、タイ、ネパール、インドで多く,その割合は眼瞼悪性腫瘍の25~41%となっています。一方、欧米では基底細胞癌の頻度は眼瞼悪性腫瘍の85%以上を占めています。欧米では脂腺癌はまれで0~3%ですがこのように脂腺癌の発症に地域差があるのは環境因子、遺伝的要因、人種差などが要因と推測されています。基底細胞癌が白人に多いのは皮膚にメラニンが少ないため紫外線の影響が関係しているとかんがえられています。

   
主な眼瞼腫瘍・腫瘤の分類
良性腫瘍
表皮系:脂漏性角化症、ケラトアカントーマ
毛包系:毛包上皮腫、毛母腫
脂腺系:脂腺腺腫
汗腺系::汗管腫、汗囊腫
メラノサイト系: 母斑細胞母斑
神経系:神経鞘腫
脈管系:乳児血管腫、老人性血管腫、化膿性肉芽腫
その他:黄色腫、線維腫

悪性腫瘍
表皮系::基底細胞癌、扁平上皮癌 
脂腺系:脂腺癌
メラノサイト系:悪性黒色腫
神経系:Merkel細胞癌
その他:癌の皮膚に転移したもの

囊胞や炎症
皮膚系:類表皮囊胞、皮様囊胞
脂腺系:霰粒腫、麦粒腫、瞼板内角質囊胞
ウィルス感染:尋常性疣贅、伝染性軟属腫