• 診療時間 11:00~13:00 / 14:30~19:00 木曜休診、日・祝は18:00まで
  • 祝日も診療 

お知らせ

緑内障点眼薬としてのβ遮断薬と心臓疾患に対するβ遮断薬の役割

2023年03月22日


β遮断薬は古くから眼圧下降作用が良好なことから緑内障の治療薬として使用され現在でも第一選択薬の中の1つです。
点眼薬は超微量で血管内に移行する量も超微量ですので全身的な副作用は発症しないと思われがちですが副作用に起因する受容体占有率はそれほど低くないとの報告もあり全身的副作用はおこりうると考えた方がよいでしょう。実際にβ遮断薬の点眼薬を使用した症例で徐脈や意識消失した症例や喘息が増悪した症例の報告もあり心臓病や喘息のある方には使用しないこととされています。
しかし循環器の領域では全く異なった使用法が行われています。絹川先生によりますと30年ほど前までは心不全の治療薬は強心薬が使用されβ遮断薬は禁忌でした。しかし1990年代になると大規模臨床試験により強心薬は長期投与により心不全の予後が悪化することが報告されました。また虚血や炎症により心臓のポンプ機能が低下して心不全になると心機能やレニン、アイギオテンシンⅡなど神経体液性因子が上昇しそれらの受容体が集まる心筋がさらに障害されリモデリングするという悪循環に陥ることや神経体液性因子を抑制することでこの悪循環を断ち切り心筋細胞の収縮特性が正常化してリバースリモデリングを起こしそれにより心不全の予後が改善することが判明しました。β遮断薬などの神経体液性因子阻害薬は心臓の障害がさらに悪化することを防いで予後を改善することも判明したわけです。β遮断薬については2000年前後に慢性心不全に対する治療薬の一つとしてガイドラインで推奨されています。
β遮断薬は使用目的により果たす役割がことなるということでしょう。